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ベーコンのノヴム・オルガヌムの対称性

## ベーコンのノヴム・オルガヌムの対称性

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構成における対称性

『ノヴム・オルガヌム』は、大きく分けて二つの部分から成り立っています。第一部は「偶像論」であり、人間の認識に潜む誤謬の原因を偶像として分類し、批判的に検討しています。第二部は「解釈の論理」であり、経験に基づいた正しい認識方法を提示しています。この構成は、人間の知性における

* **破壊的部分(pars destruens)**:偶像論
* **建設的部分(pars construens)**:解釈の論理

という対称性を示しています。偶像論は、既存の学問や権威に囚われた人間の思考様式を否定し、真の認識への障害を取り除くことを目的としています。一方、解釈の論理は、感覚と理性に基づいた新たな認識方法を提示することで、自然の法則を明らかにすることを目指しています。

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方法における対称性

ベーコンは、偶像論において、従来の演繹法を批判し、帰納法の重要性を説いています。演繹法は、一般的原理から個別的な事象を導き出す推論方法であり、アリストテレス以来、西洋哲学の伝統的な方法でした。しかしベーコンは、演繹法は人間の偏見や先入観に囚われやすく、真実に到達するためには不十分であると主張します。

一方、帰納法は、個別的な事象を観察し、そこから一般的な法則を導き出す推論方法です。ベーコンは、帰納法こそが、偏見や先入観に左右されずに、自然の真実を明らかにする唯一の方法であると主張しました。

このように、『ノヴム・オルガヌム』は、人間の認識における誤謬の原因を批判的に分析する偶像論と、経験に基づいた正しい認識方法を提示する解釈の論理という、二つの側面から構成されています。また、演繹法と帰納法という対照的な方法を比較検討することで、帰納法こそが自然の真実を明らかにする唯一の方法であると主張しています。これらの対称性は、ベーコンの思想の体系性と論理性を示すものであり、『ノヴム・オルガヌム』を理解する上で重要な要素となっています。

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