## ドッブの価値と分配の諸理論の対称性
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価値と分配の関係性
ドッブは、価値と分配の理論は、経済学の中心的な問題である生産された富が社会のさまざまな階級にどのように分配されるかを理解するための、相互に関連し合った二つの側面であると主張しました。古典派経済学者(アダム・スミス、ダヴィッド・リカード)は、まず生産物の価値を決定し、次にその価値が賃金、利潤、地代にどのように分配されるかを説明しようとしました。
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ドッブの批判
ドッブは、このアプローチは本質的に循環論法に陥っていると批判しました。彼の主張によると、生産要素(労働、資本、土地)への報酬(賃金、利潤、地代)は、生産物の価値がすでにわかっていなければ決定できません。しかし、生産物の価値は、生産要素への報酬が決定されなければ計算できません。
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マルクス経済学における対称性
ドッブは、マルクス経済学がこの問題に対する解決策を提供すると主張しました。マルクス経済学では、価値と分配は、生産様式、特に階級関係によって同時に決定されるとされます。労働力と生産手段の所有と支配における根本的な不平等は、搾取と分配の不均衡をもたらします。