ミヘルスの現代民主主義における政党の社会学の思索
ミヘルスの視点
ミヘルスは、著書『政党論』の中で、近代社会における政党の不可避性と、その反面として内在する寡頭制支配の危険性を鋭く指摘しました。彼は、あらゆる組織、特に大規模な組織において、専門知識や指導力を持つ少数のエリート層が権力を掌握し、一般大衆を支配する傾向があると考えました。これを「寡頭制の鉄則」と呼び、民主主義社会における政党もこの原則から逃れられないと主張しました。
組織の必然性と寡頭制
ミヘルスによれば、民主主義社会においても、大衆の意思を統合し、政治的意思決定を行うためには、組織化された政党が必要不可欠です。しかし、組織が巨大化し、複雑化するにつれて、効率性や専門性を重視するあまり、権力が一部のエリート層に集中し、一般党員は意思決定から疎外されていくと指摘しました。
政党における寡頭制の兆候
ミヘルスは、政党における寡頭制支配の兆候として、以下の点を挙げました。
* 専門官僚の増加:組織の運営や政策立案を担う専門職員が増加することで、一般党員の影響力が低下する。
* 党内分派の形成:権力闘争や政策の違いによって、党内に分派が形成され、エリート層による支配が強化される。
* 大衆操作:エリート層は、宣伝やメディア操作を通じて大衆の意見を操作し、自らの権力基盤を強化しようとする。
ミヘルスの主張の意義
ミヘルスの主張は、民主主義社会における政党の光と影を浮き彫りにしました。組織化された政党は民主主義に不可欠な存在である一方で、寡頭制支配の危険性を孕んでいるという指摘は、現代社会においても重要な示唆を与えています。