## ボアンカレの科学と仮説の思索
数学における公理について
ポアンカレは、ユークリッド幾何学における平行線の公理を例に挙げ、幾何学の公理が自明の真理ではなく、経験に基づいた仮説であることを主張しました。彼は、非ユークリッド幾何学の発見によって、ユークリッド幾何学の公理の絶対的な真実性が揺らいだことを指摘し、どの幾何学を採用するかは、その幾何学がどれほど経験と整合性を持つか、そしてどれほど便利かに依存すると述べました。
物理学における法則について
物理法則についても、ポアンカレはそれが絶対的な真理ではなく、経験から帰納的に導き出されたものであると主張しました。彼は、ニュートン力学の成功にもかかわらず、それが絶対的に正しいと断言することはできないと指摘し、将来新たな事実が発見されれば、修正を迫られる可能性もあると述べました。
科学における直観の役割
ポアンカレは、科学における論理と経験の重要性を認めながらも、直観の役割も軽視しませんでした。彼は、数学的発見や物理法則の構築において、論理的推論だけでは不十分であり、直観的な飛躍が必要となることを指摘しました。
科学の目的
ポアンカレは、科学の目的は絶対的な真理を発見することではなく、世界を可能な限り正確に記述し、予測することであると主張しました。彼は、科学理論はあくまで仮説であり、常に修正される可能性を秘めていることを強調しました。