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キケロの義務についての思索

## キケロの義務についての思索

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ストア派哲学の影響

「義務について」は、ストア派哲学、特にパナイティオスの思想に強く影響を受けています。ストア派は、理性に従った生き方、徳の追求、そして運命を受け入れることを重視しました。キケロはこれらの考えを取り入れながらも、独自の解釈を加え、ローマ社会の現実的な問題に適用しようと試みています。

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義務の分類

キケロは、義務を「正直さ」「便宜」「両者の衝突する場合」の3つに分類しています。「正直さ」とは、正義や勇気といった、人間として当然持つべき徳目に関する義務です。一方、「便宜」とは、社会生活を送る上で有益な行為、例えば、礼儀正しさや親切心などを指します。

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義務の衝突

「正直さ」と「便宜」は常に一致するとは限りません。時には、正直な行為が不利益をもたらしたり、逆に、便宜を図ることが道徳的に問題となる場合があります。キケロは、このようなジレンマに直面した際に、どのように行動すべきかを考察しています。

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理想と現実のバランス

「義務について」は、ストア派の理想主義と、ローマ社会の現実政治のバランスを模索した著作と言えるでしょう。キケロは、完全な賢者であることを目指すべきだとしながらも、人間には限界があることも認めています。

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政治における義務

キケロは、政治家や指導者層が負うべき義務についても論じています。彼は、公共の利益を優先し、私利私欲を捨てて、国に奉仕することの重要性を説いています。また、政治における雄弁術の重要性も強調しており、説得力をもって人々を正しい方向に導くことが、政治家の重要な責務であると考えていました。

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