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ヒュームの人間機械論の感性

ヒュームの人間機械論の感性

感性と知性の区別

ヒュームは、人間の精神を構成する要素として、

* **印象(impressions)**: 感覚や感情など、直接的に経験される鮮明で力強い知覚
* **観念(ideas)**: 印象を基に形成される、より弱く不明瞭な思考やイメージ

の二つに区別しました。印象は、外的な感覚(視覚、聴覚、触覚など)から生じるものと、内的な感覚(喜び、悲しみ、怒りなど)から生じるものがあります。観念は、これらの印象を記憶、想像、組み合わせることで形成されます。

感性の受動性と能動性

ヒュームは、感性を基本的に受動的なものと考えました。外界の事物や出来事が、私たちの感覚器官に影響を与えることで、印象が生み出されます。そして、この印象が観念の素材となります。

ただし、ヒュームは感性が完全に受動的であるとは考えていませんでした。

感性には、**「結びつけの原理」**に基づいて、受け取った印象を結びつけ、複雑な観念を形成する働きがあります。

結びつけの原理

ヒュームは、人間の感性が以下の7つの原理に基づいて、印象や観念を結びつけていると考えました。

1. **類似**: 似ているもの同士は結びつきやすい
2. **時空的隣接**: 時間や空間的に近いもの同士は結びつきやすい
3. **因果関係**: 原因と結果のように、常に連続して起こるもの同士は結びつきやすい

これらの原理は、経験によってではなく、人間の感性に生まれつき備わっているものです。

感性と道徳

ヒュームは、道徳判断もまた、感性に基づくと考えました。理性は、事実と事実の関係を認識する能力しか持ちません。一方、道徳判断は、ある行為に対して「是認」や「非難」といった感情を抱くことを伴います。

つまり、私たちは、理性によって道徳的行動を決定するのではなく、感性によって道徳的な感情を抱くことで、行動を決定しているのです。

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