## タキトゥスのゲルマニアの感性
タキトゥスは『ゲルマニア』において、ローマとは大きく異なる文化を持つゲルマン民族の姿を描写しています。彼の文章からは、ゲルマン民族に対する様々な感情や認識を読み取ることができます。
賞賛と畏怖
タキトゥスは、ゲルマン民族の純粋さ、勇敢さ、そして質素な生活をしばしば賞賛しています。彼は、ローマ社会に蔓延する退廃や堕落とは無縁な、自然と調和した彼らの暮らしぶりを高く評価しているように見受けられます。特に、彼らの武勇、忠誠心、そして客人に対するもてなしの精神は、繰り返し称賛されています。
野蛮さと未開性
一方でタキトゥスは、ゲルマン民族の文化や習慣を、ローマ人にとって異質なものとして描写し、時に野蛮で未開なものとして捉えている側面も否めません。例えば、彼らの宗教観や社会制度、そして戦闘方法などは、ローマのそれとは大きく異なり、タキトゥスはそれを詳細に、時に驚嘆を込めて記述しています。
ローマへの脅威
タキトゥスは、ゲルマン民族の軍事力を高く評価すると同時に、それがローマにとって潜在的な脅威となりうることを認識していました。彼らの強靭な肉体、勇敢な精神、そして規律の無さゆえの予測不能性は、ローマ軍にとって脅威となる可能性を秘めていたのです。