ヴォルテールの哲学辞典の感性
感性
18世紀フランスの啓蒙思想家ヴォルテールが執筆した「哲学辞典」において、感性は重要なテーマの一つとして扱われています。
感覚と理性
ヴォルテールは、人間は感覚を通して外界を認識すると考えました。そして、この感覚 experienceこそが、我々の知識の源泉であると主張しました。 彼は、外界の事物から受けた感覚が、我々の心に「観念 idée」を作り出すと説明しました。
経験論
「哲学辞典」では、デカルトが提唱した「生得観念」を批判しています。デカルトは、人間は生まれながらにして「神」「自己」「世界」などの観念を持っていると考えましたが、ヴォルテールは、そうした観念は経験を通して後天的に獲得されると反論しました。 このように、感覚経験を重視するヴォルテールの立場は、イギリス経験論の影響を強く受けていると言えます。
限界
しかし、ヴォルテールは、感覚が完全なものではなく、錯覚や誤謬を生み出す可能性も認めています。彼は、感覚はあくまでも相対的なものであり、客観的な真実を保証するものではないと指摘しました。
理性との調和
そこで重要になるのが、「理性」の役割です。 ヴォルテールは、理性によって感覚を吟味し、誤りを修正することで、より正確な認識を得ることができると考えました。 彼にとって理性とは、感覚によって得られた情報を整理し、判断するための重要なツールだったのです。
感性の多様性
ヴォルテールは、人間はそれぞれ異なる感覚を持っているため、同じ物事を見ても異なる感じ方をすることを認めていました。 彼は、この感性の多様性が、人間の思考や行動の多様性にも繋がると考えました。