## マイネッケの近代史における国家理性の理念の選択
フリードリヒ・マイネッケと歴史主義
フリードリヒ・マイネッケ(1862-1954)は、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したドイツの歴史家です。ランケに始まるドイツ歴史学の伝統を受け継ぎ、歴史主義の立場から、近代国家の成立過程を分析しました。マイネッケは、歴史を個別具体的な事象の積み重ねとして捉え、それぞれの時代や国家の持つ固有性を重視しました。
国家理性と国民国家
マイネッケは、歴史を動かす力として「国家理性」(Staatsräson)という概念を重視しました。国家理性とは、国家がその存続と発展のためにとるべき行動の指針となる原理です。彼は、近代という時代において、国家理性が国民国家という形態をとって実現していく過程を分析しました。
マイネッケによれば、国民国家とは、単一民族による文化的な統一と、その成員の政治的な統一が一致した国家です。彼は、国民国家こそが、近代における国家の理想型であると考えました。
国家理性の選択と国民国家への道
マイネッケは、近代国家が国民国家へと発展していく過程で、それぞれの国家が、自国の歴史や文化、置かれている国際環境に応じて、独自の「国家理性の選択」を行ってきたと論じました。
彼は、イギリス、フランス、ドイツという三つの国を例に挙げ、それぞれの国が、どのような歴史的経緯を経て、国民国家という形に到達したのかを分析しました。
マイネッケの史観に対する批判
マイネッケの歴史観は、国民国家を理想化するあまり、ナチスによるドイツ民族の優越性を主張する論理に利用されたという批判があります。しかし、彼の歴史観は、あくまで歴史を個別の事象の積み重ねとして捉え、それぞれの時代の固有性を重視するという歴史主義の立場に基づいたものであり、ナチスによる歴史解釈とは明確に区別する必要があるという意見もあります。