## ドッブの価値と分配の諸理論の表現
ドッブの価値論
モーリス・ドッブは、20世紀のイギリスを代表するマルクス経済学者の一人であり、価値と分配の問題について独自の視点を展開しました。ドッブの価値論は、古典派経済学とマルクス経済学の双方から影響を受けつつも、独自の解釈を加えることで、資本主義経済における搾取のメカニズムを解明しようと試みました。
ドッブは、価値の源泉を、アダム・スミスやダヴィッド・リカードなどの古典派経済学者と同様に、労働に見出しました。彼は、あらゆる商品に共通して内在するものは、それを生産するために費やされた労働量であると主張しました。しかし、ドッブは、古典派経済学の労働価値説をそのまま受け入れたわけではありません。彼は、古典派経済学における価値概念が、市場における需給関係の影響を受けすぎるとして批判しました。
ドッブの分配論
ドッブの分配論は、彼の価値論と密接に関連しています。彼は、資本主義社会における所得分配は、生産手段の私的所有に基づく階級関係によって決定されると主張しました。具体的には、労働者は、資本家によって雇用され、賃金を受け取る代わりに、自分が生産した価値の一部を剰余価値として資本家に搾取されるとしました。
ドッブは、剰余価値の存在こそが、資本主義社会における不平等と搾取の根源であると見なしました。彼は、資本主義社会における分配関係は、労働者と資本家の間の力関係によって変化すると主張し、労働組合の役割や階級闘争の重要性を強調しました。