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マイネッケの近代史における国家理性の理念の発想

## マイネッケの近代史における国家理性の理念の発想

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国家理性とは何か

フリードリヒ・マイネッケは、その歴史観において「国家理性」(Staatsräson)を重要な概念として位置付けています。国家理性とは、簡単に言えば、国家がその存続と発展のために取るべき行動の指針となる原理です。ただし、マイネッケは国家理性を抽象的な理念としてではなく、歴史の中で具体的な形を取りながら展開してきたものとして捉えています。

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近代における国家理性の特質

マイネッケによれば、近代の国家理性は、それ以前の時代とは異なる特質を持っています。

まず、**

世俗化

** が挙げられます。中世においては、政治は宗教と不可分に結びついており、国家の行動も宗教的な権威によって正当化されていました。しかし、近代に入ると宗教改革や啓蒙主義の影響などによって、政治と宗教は分離し、国家は宗教的な権威から独立した存在として認識されるようになります。それに伴い、国家理性もまた、宗教的・道徳的な規範から自由になり、より世俗的な原理に基づいて考えられるようになりました。

次に、**

合理化

** が挙げられます。近代国家は、合理的な法体系や行政機構に基づいて運営されるようになります。そのため、国家理性もまた、単なる力や伝統ではなく、合理的な計算や論理によって導き出されるものとなります。

さらに、**

国民国家の形成

** も重要な要素です。近代に入ると、共通の言語、文化、歴史を共有する人々によって構成される国民国家という概念が生まれます。国民国家においては、国家は特定の個人や集団ではなく、国民全体のために存在すると考えられるようになります。そのため、国家理性もまた、国民全体の利益を追求するものとして理解されるようになります。

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国家理性の歴史的展開

マイネッケは、近代における国家理性の展開を、歴史的な視点から分析しています。彼は、マッキアヴェリやボダンといった思想家の著作を分析し、彼らがどのようにして宗教的な束縛から解放された、より世俗的で合理的な国家観を提示したのかを明らかにしています。

また、マイネッケは、近代国家がその形成過程において、戦争や外交といった現実政治の場面で直面した問題を分析し、それらの問題を解決するために国家がどのようにして国家理性に基づいた行動を取ってきたのかを明らかにしています。

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国家理性の多様性と相対性

マイネッケは、国家理性が時代や地域によって異なる様相を呈することを強調しています。彼は、普遍的で絶対的な国家理性を想定するのではなく、それぞれの国家が置かれた歴史的・地理的条件によって異なる国家理性を持つことを認めています。

また、マイネッケは、国家理性と道徳との関係についても考察しています。彼は、国家理性と道徳が必ずしも一致するわけではないことを認め、国家は時に道徳的に問題のある行動を取ることがあることを指摘しています。

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