ショーペンハウアーの意志と表象としての世界の構成
第一巻 表象としての世界
第一巻は、世界が我々にとってどのように認識されるか、つまり表象としての世界を論じます。ショーペンハウアーは、カントの認識論を継承し、世界は我々の認識の形式である時間・空間と、認識の材料である因果律によって構成されると主張します。そして、この世界はあくまで表象であり、物自体(ものじたい)である世界の真の姿ではないと結論付けます。
第二巻 意志としての世界
第二巻では、第一巻で示された表象としての世界の背後に存在する、物自体としての世界の本質が論じられます。ショーペンハウアーは、その本質を「意志」と規定します。意志は、盲目的な衝動であり、絶えず欠乏と充足を繰り返す苦悩に満ちたものです。
第三巻 表象としての世界の再考察:プラトン主義の理念と芸術の意義
第三巻では、再び表象としての世界に焦点が当てられます。ショーペンハウアーは、プラトン主義のイデア論の影響を受けつつ、個物に共通する普遍的な「理念」を認めます。そして、芸術は、この理念を把握することによって、一時的に意志の苦悩から解放されることを可能にすると主張します。
第四巻 意志による肯定と否定:倫理と禁欲
第四巻では、意志の肯定と否定という観点から倫理が論じられます。ショーペンハウアーは、他者の苦しみへの共感を通じて、自己保存の意志を否定し、禁欲へと向かうことが苦悩からの解放に繋がると説きます。
補足:本書は四つの部分に分かれていますが、それぞれの部分は独立したものではなく、相互に関連し合いながら、ショーペンハウアーの哲学体系を構築しています。