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トルストイのセヴァストーポリ物語の構成

## トルストイのセヴァストーポリ物語の構成

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構成

「セヴァストーポリ物語」は、全部で三つの短編から成る連作短編集です。

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各話の成立と発表

* **セヴァストーポリ12月(1854年9月執筆開始、1855年発表)**
クリミア戦争中のセヴァストーポリを舞台に、ロシア軍の士官や兵士たちの様子を描写しています。戦争の現実と、それに直面する人間の心理を生々しく描き出しています。

* **セヴァストーポリ5月(1855年発表)**
前作から数ヶ月後を描いた作品で、戦況が悪化する中で、人々の間で厭戦気分が高まっていく様子が描かれています。戦争の無意味さや残酷さをより強く浮き彫りにしています。

* **セヴァストーポリ8月(1855年執筆開始、1856年発表)**
セヴァストーポリ陥落直前の数日間を描写しており、街の壊滅と人々の絶望が中心的なテーマとなっています。戦争の終結と、それに伴う喪失感を描いています。

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時系列と視点の変化

三つの物語は時系列順に描かれていますが、それぞれの物語で視点人物が異なります。

* 「セヴァストーポリ12月」では、負傷した士官であるヴォロージャを中心に、兄弟や周りの人々を交えて物語が進みます。

* 「セヴァストーポリ5月」では、特定の主人公はおらず、様々な人物の視点から物語が語られます。

* 「セヴァストーポリ8月」では、再びヴォロージャを主人公として、彼の視点から物語が展開されます。

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リアリズムの手法

「セヴァストーポリ物語」は、トルストイの初期の作品でありながら、後の作品群にも通じるリアリズムの手法が色濃く表れています。

* 詳細な描写: 戦闘シーンや街の風景、人々の心理状態などが、克明に描写されています。

* 平凡な英雄: 英雄視されるような人物ではなく、ごく普通の兵士や市民の生活や心情に焦点を当てています。

* 戦争のリアリティ: 戦争を英雄的な行為として美化するのではなく、その残酷さや無意味さを容赦なく描き出しています。

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