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ヤーコブソンの言語学と詩学と時間

## ヤーコブソンの言語学と詩学と時間

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ヤーコブソンの言語学と詩学における時間の位置づけ

ロシア・フォルマリズムから構造主義言語学へと研究を発展させたローマン・ヤーコブソンは、文芸批評においても言語学的な分析手法を導入し、詩の言語の自律性と独自性を明らかにしようとしました。 彼の言語理論において「時間」は中心的なテーマではありませんでしたが、詩的機能の考察において、言語の時間軸の操作が重要な役割を果たすとされています。

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詩的機能における時間の特異性

ヤーコブソンは、言語の諸機能の中で「詩的機能」を、メッセージの形式に焦点を当てる機能として定義しました。 詩的機能が優位を占める詩的言語においては、音韻や統語、意味などの様々なレベルで言語要素の等価性(equivalence)が強調され、言語の時間軸の操作を通して独特な時間経験が創出されます。 例えば、詩における韻律や反復は、通常の言語活動では意識されない時間的単位を生み出し、読者に言語の物質性を強く意識させます。 また、メタファーやメトニミーといった修辞技法も、異なる時間軸を交差させることで、意味の深みや広がりを生み出す効果を持ちます。

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時間操作の具体例

詩における時間操作の具体例としては、詩の韻律やリズム、反復、倒置、省略などの表現技法が挙げられます。 例えば、韻律やリズムは、一定の時間的間隔を規則的に繰り返すことで、詩に音楽的な効果をもたらすと同時に、読者に時間経過の感覚を意識させます。 また、反復は、同一または類似の言語要素を時間軸上で繰り返すことで、特定のイメージや感情を強調する効果を持ちます。 さらに、倒置や省略は、通常の文法規則から逸脱することで、時間的な流れに変化を与え、読者に解釈の余地を与えます。

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