## マイケネの近代史における国家理性の理念と時間
フリードリヒ・マイネッケ（1862-1954）は、
ドイツの歴史家であり、歴史主義の代表的な人物です。彼は、歴史を、普遍的な法則や抽象的な理念によってではなく、具体的な時代や社会における個別の事象の展開として理解しようとしました。彼の主著『歴史主義の起源と時代』（1936年）は、近代ヨーロッパにおける歴史思想の発展を辿り、歴史主義の意義を論じたものです。
マイネッケは、近代を
「国家理性の時代」と特徴づけました。彼によれば、近代国家は、中世の封建社会における宗教や伝統といった非合理的な支配の形態を克服し、理性に基づいた統治を実現しようとした存在でした。国家理性は、法律の制定、行政の効率化、教育の普及などを通じて、社会の秩序と進歩を促進しました。
マイネッケは、国家理性の展開を
時間と関連づけて捉えました。彼によれば、歴史は直線的な進歩ではなく、それぞれの時代や社会が持つ独自の個性と発展の論理に従って展開します。国家理性もまた、時代とともに変化し、発展してきました。例えば、17世紀の絶対主義国家における国家理性は、君主の権力強化と国家の統一を目的としていましたが、18世紀の啓蒙主義時代になると、個人の自由や権利を尊重する方向へと変化しました。
マイネッケは、国家理性の発展を
歴史的な文脈の中で捉えることの重要性を強調しました。彼は、普遍的な国家理性の理念が存在するとは考えず、それぞれの時代や社会が、その歴史的状況に応じて独自の国家理性を形成すると考えました。