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紫式部の源氏物語と時間

## 紫式部の源氏物語と時間

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時間の流れ

『源氏物語』における時間の流れは、西洋文学に見られるような線形的、均質的なものではありません。物語は、時間の流れが速くなったり遅くなったり、ある場面では時の経過がほとんど感じられないほど詳細に描写される一方、別の場面では数年が数行で語られるなど、極めて流動的です。

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時間の指標

作中では、時間の流れを示唆する様々な指標が用いられています。

* **四季の移り変わり:** 自然の風景描写、特に四季折々の草花の描写は、時間の流れを表現する上で重要な役割を果たしています。
* **月の満ち欠け:** 月の満ち欠けもまた、時間の経過を示すものとして頻繁に登場します。特に、中秋の名月や十三夜といった特定の月の夜は、物語の中で重要な意味を持つことが多いです。
* **年中行事:** 節句や七夕、新年などの年中行事も、時間の経過を示すとともに、登場人物たちの心情や物語の転換点となる場面で描かれることが多いです。
* **年齢:** 登場人物の年齢や成長も、時間の流れを把握する上で重要な要素となります。特に、光源氏の子や孫の世代が登場するにつれて、時間の流れが意識されます。

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時間の主題

『源氏物語』は、単に時間の流れを描写するだけでなく、時間そのものを主要なテーマとしています。

* **無常観:** 美しさや栄華は、いずれは衰退していくという無常観が、作品全体を貫くテーマとなっています。
* **追憶と回想:** 物語は、光源氏の死後、彼を知る女性たちが過去を振り返る形で進行する部分が多く、時間の経過と記憶の重なりが印象的に描かれています。
* **世代交代:** 光源氏一代の物語にとどまらず、その子や孫の世代へと物語が受け継がれていくことで、時間の流れの不可逆性と、その中で繰り返される人間の営みが浮き彫りになります。

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