Skip to content Skip to footer

ワイルドのサロメと時間

## ワイルドのサロメと時間

### 戯曲における時間の扱い

オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」は、聖書の一節を題材としつつも、時間については明確な設定や流れを避けています。台詞の中に具体的な年号や日付は登場せず、時間の経過も曖昧です。

### 時間の圧縮と象徴化

「サロメ」では、ヨカナーンの登場からサロメによる彼の首への接吻まで、実際には数日から数週間ほどかかると考えられる出来事が、一晩のうちに凝縮して描かれます。これは、古典的な三幕構成の戯曲に物語を収めるためであると同時に、サロメのヨカナーンへの執着と、それがもたらす破滅の急激な加速を象徴的に表現しているとも言えます。

### 月と時間のイメージ

戯曲の中で、月は重要な象徴として繰り返し登場します。特に、サロメがヨカナーンに恋慕を抱く場面や、彼女の狂気と破滅が頂点に達する場面では、月の存在感が際立ちます。月は、古代から時間と密接に結びつけられてきたモチーフであり、「サロメ」においても、登場人物たちの運命を支配する不可避的な時間の流れを暗示していると考えられます。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5