## スタンダードのパルムの僧院と時間
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時間と年代
スタンダールの小説「パルムの僧院」は、19世紀初頭のイタリアを舞台としています。具体的な年代は本文中に明示されていませんが、ナポレオン戦争後の復古王政期であることは、作中の社会状況や登場人物たちの会話から読み取れます。
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時間の流れ
小説内における時間の流れは、必ずしも均等ではありません。主人公ファブリーズの心理描写に重点が置かれているため、彼の内面が大きく揺り動く場面では時間が濃密に流れ、そうでない場面では比較的速く時間が経過します。
例えば、ファブリーズがクレリアに恋心を抱く場面や、牢獄で死を覚悟する場面などは、彼の心情を事細かに描写することで、時間の流れが遅く感じられます。一方、ファブリーズが出世のために奔走する場面や、社交界で様々な人物と出会う場面などは、比較的簡潔に描写されるため、時間の流れが速く感じられます。
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時間のテーマ
「パルムの僧院」において、時間は単なる物語の背景として機能するだけでなく、重要なテーマの一つとなっています。
作中では、時間の経過とともに社会が変化していく様子が描かれています。ナポレオン戦争の終結により、イタリア社会は大きな変革期を迎えます。古い秩序が崩壊し、新しい価値観が生まれようとする中で、ファブリーズは自らの野心に突き動かされ、時代の波に乗り遅れまいと奮闘します。
また、時間の流れは、登場人物たちの感情にも影響を与えます。ファブリーズは、クレリアへの愛と、立身出世への欲望との間で葛藤しますが、時間の経過とともに、彼の心境にも変化が生じます。