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キケロの共和国についての翻訳

## キケロの共和国についての翻訳

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現存状況と翻訳の課題

キケロの『国家論』(De re publica) は、紀元前54年から紀元前51年にかけて執筆された、ローマの政治体制と理想的な国家について論じた対話篇です。しかし、原典は長い間失われており、断片的にしか現存していません。

現存する部分は、写本やパピルスではなく、主に以下の2つの資料に依拠しています。

* **1)アウグスティヌスの『神の国』:** キケロの思想に影響を受けたアウグスティヌスは、『神の国』の中で『国家論』の内容を引用したり、論駁したりしています。
* **2)1819年に発見されたパリンプセスト:** 古代の羊皮紙を再利用した写本で、その下から『国家論』の一部が発見されました。これは、現存する最もまとまった部分であり、貴重な資料となっています。

これらの資料から、現在では『国家論』の約3分の1が復元されていますが、欠落部分も多く、文脈を完全に理解することが難しい箇所も少なくありません。

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翻訳における問題点

『国家論』の翻訳には、以下の様な問題点が存在します。

* **1)ラテン語の難解さ:** キケロの文体は、古典ラテン語の中でも特に難解とされ、修辞技法や専門用語が頻出します。そのため、原文のニュアンスを正確に理解し、日本語で自然な表現に置き換えることは容易ではありません。
* **2)政治用語の翻訳:** 『国家論』には、res publica(国家)、iustitia(正義)、libertas(自由)など、ローマの政治思想において重要な概念を表す言葉が多数登場します。これらの用語を現代の日本語でどのように訳すかは、翻訳者によって解釈が分かれるところです。
* **3)欠落部分の解釈:** 欠落部分については、文脈から推測するしかありません。そのため、翻訳者によって解釈が異なり、同じ箇所でも訳が異なる場合があります。

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翻訳の多様性

上記のような問題点から、『国家論』の翻訳は一筋縄ではいかず、時代や翻訳者の解釈によって様々な版が存在します。それぞれの翻訳は、原文の解釈、日本語表現、現代への適合など、様々な要素を考慮して作成されています。

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