## ドストエフスキーの賭博者の美
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美しさ1:破滅への抗えない魅力
「賭博者」の魅力の一つは、主人公アレクセイ・イワノヴィッチの破滅へと向かう様を、抗えない魅力として描いている点にあります。彼は家庭教師として赴いたルーレットに魅せられ、次第に身を滅ぼしていきます。ドストエフスキーは、理性を失い、衝動に突き動かされる人間の弱さ、そして破滅へと向かう姿に一種の美しさを見出していたのかもしれません。
作中では、アレクセイの心理描写が詳細に描かれ、読者は彼の高揚感と絶望の狭間で揺れ動く様を、まるで我が事のように体感させられます。そして、破滅へと向かう彼の姿に、目を背けられない魅力を感じることでしょう。
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美しさ2:愛と依存の複雑な関係
「賭博者」では、愛と依存の複雑な関係も描かれています。アレクセイは、ルーレットにのめり込む一方で、雇い主の義理の娘ポリーナに恋心を抱きます。しかし、彼の愛情は、ポリーナへの依存、そして彼女への屈折した感情へと変貌していきます。
ドストエフスキーは、純粋な愛情と、依存、執着、嫉妬といった感情が複雑に絡み合った関係を描き出すことで、人間の心の奥底にある、愛と憎しみの表裏一体の姿を浮き彫りにしています。