Skip to content Skip to footer

フッサールの「純粋現象学および現象学的哲学の諸問題」の思考の枠組み

## フッサールの「純粋現象学および現象学的哲学の諸問題」の思考の枠組み

###

現象学の根本問題:意識と対象の関係

フッサールにとって、哲学の根本問題は意識と対象の関係にあり、それを明らかにすることが現象学の課題となります。彼は、伝統的な哲学がこの問題において、「自然主義的態度」と呼ばれる誤謬に陥っていると批判します。自然主義的態度とは、意識を自然の一部として捉え、客観的な世界の中に位置づけようとする立場です。

フッサールは、この自然主義的態度を克服するために「超越論的還元」と呼ばれる方法を提唱します。超越論的還元とは、客観的な世界の存在や意識の自然的、心理学的側面を括弧に入れることであり、意識に直接的に与えられるもの、すなわち「現象」そのものへと立ち戻ることです。

###

意識の志向性:意識は常に何かに「向かっている」

フッサールは、意識の本質として「志向性」を重視します。志向性とは、意識は常に何らかの対象へと「向かっている」、関係性を指向しているということです。意識は、感覚、知覚、想像、判断など、様々な仕方で対象を捉えますが、いずれの場合も意識は対象から独立して存在することはできません。

この意識の志向性を分析するために、フッサールは「ノエマ」と「ノエシス」という概念を導入します。ノエマとは、意識に「与えられているもの」、つまり対象の意識的内容です。一方、ノエシスとは、意識の「働き」、つまり対象を捉える仕方です。ノエマとノエシスは不可分で、意識は常にノエシスを通してノエマを捉えます。

###

現象学的還元:本質的直観による現象の把握

フッサールは、現象を正確に把握するために「現象学的還元」と呼ばれる方法を導入します。現象学的還元とは、対象に関するあらゆる先入観や仮説を排除し、意識に直接的に与えられる現象そのものへと焦点を当てることです。

現象学的還元によって、私たちは「本質的直観」が可能となります。本質的直観とは、個々の具体的な現象を超えて、その背後にある普遍的な本質を直観的に把握することです。

フッサールは、現象学的還元と本質的直観によって、客観的な世界についての知識ではなく、意識の構造と機能についての確実な知識を得ることができると考えました。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5