## リヴィウスのローマ建国史の秘密
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失われた部分
リヴィウスの「ローマ建国史」は、ローマ建国から西暦9年までの歴史を142巻にもわたって記した大作でしたが、現在まで完全に残っているのは35巻のみです。 失われた部分の内容は、断片的に引用されたものや、後の時代の歴史家による要約などから推測することしかできません。
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史料の信憑性
リヴィウスは、歴史の記述にあたって、先行する歴史家や年代記、公文書などを参照していました。 しかし、当時の史料には伝説や伝承が混ざっていることも多く、その信憑性については議論があります。 リヴィウス自身も、史料の矛盾点や不確かさに言及しており、必ずしも全ての記述を事実として受け取っていたわけではありませんでした。
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文学的技巧
リヴィウスは、歴史家であると同時に優れた文学者でもありました。 「ローマ建国史」は、単なる歴史書の枠を超えた、ドラマティックな物語として高く評価されています。 リヴィウスは、登場人物の心理描写や巧みな構成を用いることで、読者を引き込む魅力的な作品を生み出しました。
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政治的意図
「ローマ建国史」は、アウグストゥス帝の治世下に書かれました。 リヴィウスは、ローマの伝統的な価値観や道徳観を強調することで、アウグストゥスの権力強化を間接的に支持していたという見方があります。