## プラトンの「ゴルギアス」とアートとの関係
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弁論術と料理術:模倣の技術としての位置づけ
「ゴルギアス」の中で、ソクラテスは弁論術を料理術と比較し、どちらも快楽を与える技術であると主張します。これらは真の知識や技術ではなく、対象の本質を見抜かずに、ただ快楽を与えるだけの「迎合」の技術であると批判します。この議論の中で、ソクラテスは絵画や彫刻、詩などの芸術もまた、模倣によって快楽を与える技術であると位置づけています。
ソクラテスは、真の知識を持たずに感覚的な快楽のみを与える技術は、人間の魂を堕落させると考えます。彼は、弁論術や料理術、そして芸術を含む模倣の技術を、魂の改善には繋がらないものとして批判しています。
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芸術の持つ力:感情への影響力
「ゴルギアス」では、芸術、特に詩や演劇が人間の感情に強い影響を与えることが指摘されています。ソクラテスは、詩や演劇は観客の感情を揺さぶり、理性的な判断を鈍らせる可能性があると主張します。
彼は、詩や演劇が観客を熱狂させたり、悲しませたりする様子を、一種の「魔法」にたとえています。そして、このような感情的な操作は、観客を正しい判断から遠ざけ、魂を堕落させる可能性があると警告しています。