ピレンヌのベルギー史とアートとの関係
ピレンヌのベルギー史におけるアートの扱い
アンリ・ピレンヌは、その著書「ベルギー史」の中で、政治、経済、社会構造といった側面に焦点を当て、通史としてのベルギー史を描こうとしました。アートそのものを主題として深く掘り下げることはありませんでした。
芸術活動への言及
ピレンヌは、ブルゴーニュ公国時代やネーデルラント時代など、芸術活動が盛んだった時代について記述する際に、絵画、彫刻、建築などの分野における卓越した業績について触れています。例えば、ヤン・ファン・エイクやロヒール・ファン・デル・ウェイデンといったフランドル派の画家たちの革新的な技法や、ブルゴーニュ公爵家の宮廷文化におけるタペストリーや装飾写本の隆盛について言及しています。
都市と芸術の関係性
ピレンヌは、中世後期から近世にかけてのフランドル地方の都市の発展と、それに伴う芸術活動の活発化についても指摘しています。ゲン Bruges: 布地交易と絵画、ブリュッセル Brussels: タペストリー製作の中心地としての発展、アントワープ Antwerp: 国際貿易港として栄え、16世紀にはピーテル・ブリューゲルなど多くの芸術家たちを惹きつけました。ピレンヌは、これらの都市が経済的な繁栄を背景に、芸術家たちのパトロンとなり、独自の文化を育んでいったことを示唆しています。
ピレンヌの視点
ピレンヌは、アートをベルギー史を語る上で重要な要素とは捉えていません。しかし、彼の記述からは、時代背景や社会構造と密接に関係しながら、独自の芸術文化が育まれていったことが読み取れます。