## ワイルドのサロメとアートとの関係
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芸術至上主義とデカダンス
オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」は、1893年にフランス語で執筆され、1894年に出版されました。この作品は、聖書に登場するサロメの物語を、世紀末のデカダンスの美意識を通して描いたもので、発表当時大きなスキャンダルを巻き起こしました。
「サロメ」は、その過剰なまでに美しい言語と、退廃的で官能的なイメージによって特徴付けられます。ワイルドは、象徴主義の影響を受け、言葉によって直接的に表現するのではなく、暗示や比喩を用いて、登場人物の心理や情景を描き出しました。
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絵画、演劇、音楽とのつながり
ワイルドは、「サロメ」を執筆するにあたって、ギュスターヴ・モローやオディロン・ルドンといった象徴主義の画家の作品から大きな影響を受けています。特にモローの描いた「出現」は、ヨカナーンの首を前にしたサロメの姿が、「サロメ」の重要なイメージとなっています。
「サロメ」は、初演前から多くの芸術家を刺激し、オーブリー・ビアズリーによる挿絵や、リヒャルト・シュトラウスによるオペラなど、さまざまな作品が生まれました。ビアズリーの挿絵は、そのグロテスクでエロティックな表現が、当時の道徳観に反するとされ、大きな論争を巻き起こしました。
このように、「サロメ」は、文学作品であると同時に、絵画、演劇、音楽など、さまざまな芸術と密接に関係しています。ワイルドは、自らの作品を通して、芸術至上主義を体現し、世紀末のデカダンスの美意識を表現しようとしました。