ザビエルの聖フランシスコ・ザビエル書簡集に影響を与えた本
トマス・ケンピスの『キリストに倣いて』
ザビエルの聖フランシスコ・ザビエルの書簡集には、宣教活動の苦難や神の愛、霊魂の救済への情熱など、彼の内面世界が鮮やかに描かれています。これらの書簡に深い影響を与えた書物の一つとして、トマス・ケンピスの『キリストに倣いて』が挙げられます。
キリストへの熱い想いと自己卑下の精神
『キリストに倣いて』は、キリストの生涯と教えに倣い、自己を捨てて神に完全に従うことを説く霊性の古典です。ザビエルは、この書物から深い感銘を受け、常に携帯し、繰り返し読み返していたと言われています。
特に、キリストの受難と自己犠牲の描写は、ザビエルの心を強く打ったと考えられます。彼は書簡の中で、キリストの苦しみに比べれば自身の苦労など取るに足らないものとし、むしろキリストの苦しみに肖りたいという強い想いを表明しています。
宣教活動の原動力としての『キリストに倣いて』
『キリストに倣いて』は、ザビエルの宣教活動の原動力の一つになったと考えられます。厳しい環境下で布教活動を行う中で、彼はしばしば孤独や挫折感を味わいました。そのような時、ザビエルは『キリストに倣いて』を読み返すことで、キリストの模範に立ち返り、自身の使命を再確認し、困難に立ち向かう勇気を得ていたのではないでしょうか。
実際、ザビエルの書簡には、『キリストに倣いて』からの引用や、その内容を反映した記述が多数見られます。彼は、キリストの教えに従い、自己の栄光や欲望を捨てて、無償の愛を持って異教徒に接することを心がけていました。
内的変容を促す霊性の書
『キリストに倣いて』は、単なる宗教書ではなく、読者の内面に深く働きかけ、精神的な変容を促す力を持った霊性の書と言えます。ザビエルの書簡から読み取れる彼の信仰の深さ、謙虚さ、そして人々に対する献身的な愛は、『キリストに倣いて』の影響を受けて培われたものと言えるでしょう。