## ラサールの労働者綱領を読んだ後に読むべき本
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資本論
カール・マルクスの『資本論』は、ラサールの労働者綱領を読み解く上で欠かせない一冊と言えるでしょう。『労働者綱領』が発表された当時、マルクス主義とラサール主義はドイツ労働運動における二大潮流を形成していましたが、両者の間には、国家の役割や社会主義革命の道筋など、様々な論点において対立がありました。
ラサールの主張は、国家による労働者の保護と、国家の援助による生産組合の設立を通じて、労働者が資本家階級の支配から解放されるというものでした。一方で、マルクスは、国家を資本家階級の支配の道具とみなし、労働者階級による国家の打倒と、生産手段の社会的所有に基づく共産主義社会の実現を主張しました。
『資本論』においてマルクスは、資本主義社会における資本蓄積のメカニズム、労働力の搾取の実態、資本主義経済が必然的に生み出す矛盾と危機について、膨大な歴史的資料と鋭い分析力をもって解き明かしていきます。そして、資本主義社会の必然的な終焉と、それに続く共産主義社会の到来を予言しました。
ラサールの『労働者綱領』を読むだけでは、当時の社会主義思想の全体像を捉えることはできません。マルクスの『資本論』を読むことで、ラサール主義に対する批判的な視点を得ると同時に、19世紀後半のヨーロッパ社会を揺るがした社会主義思想の根源に触れることができるでしょう。
具体的には、『資本論』第一巻の「商品」「貨幣」「資本」といった章は、マルクスの労働価値説や剰余価値論を理解する上で基礎となる部分であり、ラサールの主張と比較しながら読むことで、両者の経済理論の違いがより明確になるはずです。また、第三巻の「利潤率の傾向的低下の法則」は、資本主義経済が内包する矛盾を明らかにした重要な概念であり、ラサールが重視した国家の役割とは異なる視点から、社会主義革命の必然性を示唆するものと言えるでしょう。
もちろん、『資本論』は膨大かつ難解な著作であり、容易に読みこなせるものではありません。しかし、ラサールの『労働者綱領』を読み、当時の社会主義思想への理解を深めたいと考えるならば、『資本論』は避けて通ることのできない、挑戦する価値のある一冊であると言えるでしょう。