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ハイデガーの存在と時間を読んだ後に読むべき本

ハイデガーの存在と時間を読んだ後に読むべき本

サルトルの存在と虚無

ジャン=ポール・サルトルの『存在と虚無』は、ハイデガーの『存在と時間』を深く理解した上で読むのに最適な書物と言えるでしょう。 サルトル自身、ハイデガーから多大な影響を受けたと公言しており、『存在と虚無』は、ハイデガーの存在論を基盤としながらも、独自の解釈を加え、人間存在の自由と責任といった実存主義的なテーマを深く掘り下げています。

ハイデガーは、『存在と時間』において、人間を「現存在」として捉え、世界内存在、歴史性、時間性といった観点から分析しました。彼は、人間は単なる客体ではなく、世界と常に関係性を持ちながら、時間の中で存在を形成していく存在であると主張します。 特に、「死」を意識することによって、人間は自らの有限性を自覚し、「本来的な存在」を志向するようになるとしました。

サルトルもまた、人間存在の根源的な自由を強調し、人間は「本質に先立つ存在」であり、自らの選択と行動によって、絶えず自らを創造していく存在であると説きます。 しかしサルトルは、ハイデガーが重視した「歴史性」や「世界内存在」といった概念を批判的に捉え、人間の自由は、いかなる状況や制約からも超越した絶対的なものであると主張しました。

『存在と虚無』において、サルトルは、人間の意識を「無」として捉え、その「無」こそが、世界と自身を対象化することを可能にする根源的な自由であると論じます。 彼は、人間は常に未来に向かって「自己企投」を行い、自らの可能性を実現しようと努める存在であると述べます。 しかし同時に、その自由には重い責任が伴うことも強調しています。 なぜなら、我々は自らの選択によって、自分自身のみならず、全人類にとっての価値を創造することになるからです。

『存在と虚無』は、ハイデガーの思想を批判的に継承しつつ、人間存在の自由と責任という普遍的なテーマを、より具体的な文脈で考察した作品と言えるでしょう。 サルトルの論理は難解ですが、粘り強く読み解くことで、ハイデガーの存在論に対する理解を深めるとともに、現代社会における人間の在り方を考える上で重要な示唆を得ることができるでしょう。

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