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ブルクハルトのイタリア・ルネサンスの文化が扱う社会問題

## ブルクハルトのイタリア・ルネサンスの文化が扱う社会問題

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個人主義の台頭と社会との摩擦

ブルクハルトは、ルネサンス期における大きな変化として、中世的な共同体の絆からの脱却と、個人主義の台頭を挙げます。人間は神の前に平等であり、各々が独自の才能や能力を持つという意識が広がり、個人の自由や自己実現が強く意識されるようになりました。

しかし、この個人主義の隆盛は、従来の社会構造や価値観との摩擦を生み出しました。教会や貴族中心の社会秩序は、個人の自由な活動を制限し、既成の権威や伝統に縛られない生き方との間で葛藤が生じます。

例えば、ルネサンス期の芸術家たちは、教会や貴族からの庇護を受けながらも、自らの個性を作品に表現することにこだわり、従来の宗教画の枠組みを超えた作品を生み出しました。また、マキャベリの『君主論』に見られるような、政治における現実主義的な思想も、従来の道徳観や宗教観に挑戦するものでした。

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都市国家間の対立と政治的不安定さ

ルネサンス期、イタリアは多数の都市国家に分裂し、経済力や軍事力を背景に覇権を争っていました。フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノなどの都市国家は、それぞれ独自の政治体制や文化を築き上げ、互いに競争しながらも、複雑な外交関係を構築していました。

しかし、この都市国家間の対立は、頻繁に戦争や陰謀を引き起こし、イタリア半島は政治的に不安定な状態に陥ります。マキャベリは、こうした現実を目の当たりにし、権謀術数を駆使してでも国家の安定と繁栄を目指す君主の必要性を説きました。

また、都市国家内部においても、権力闘争や派閥争いが絶えず、社会は常に不安定な要素を抱えていました。ルネサンス期の華やかな文化や芸術は、こうした政治的な不安定さと隣り合わせに存在していたのです。

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