オットーの聖なるものを読む前に
聖なるものの概念に触れる
ルドルフ・オットーの主著『聖なるもの』は、聖なるもの(the Numinous, the Holy)という人間の宗教的経験の本質に迫る概念を主題とした書物です。彼は、聖なるものを理性や道徳的な善とは全く異なる次元のものとして捉え、畏怖、戦慄、魅惑といった複雑な感情を伴うものとして描いています。
宗教現象学への予備知識
オットーは、人間の内的経験を通して宗教現象を理解しようとする宗教現象学の立場から論を進めます。現象学とは、物事自体がどのように現れているかを客観的に記述することを重視する哲学の一派です。オットーは、聖なるものもまた、人間にどのように現れるかを分析することによって、その本質に迫ろうとしました。
宗教的経験への内省
『聖なるもの』は、読者自身の宗教的経験、あるいは宗教的な畏怖や崇敬の念を抱いた経験を振り返りながら読むことで、より深く理解することができます。特定の宗教や宗派にとらわれず、人間の根源的な感覚としての「聖なるもの」への感受性を研ぎ澄ます。
神秘主義思想への関心
オットーは、聖なるものを合理的に説明することの限界を認め、神秘主義的な直観の重要性を強調しています。彼は、聖なるものは人間の言語や概念を超越したものであり、理性的な分析だけでは捉えきれない側面を持つと考えています。
比較宗教学の視点
オットーは、特定の宗教の教義に焦点を当てるのではなく、様々な宗教に共通してみられる聖なるもの体験を分析対象としています。彼は、聖なるものが持つ普遍的な側面を明らかにすることで、人間の宗教性の根源に迫ろうとしました。