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ダンテの天国篇を読む前に

## ダンテの天国篇を読む前に

ダンテの天国篇を読む前に、考慮すべき点がいくつかあります。

### 1. 予備知識なしに天国篇から読み始めてはいけません。

「神曲」は、「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の三部からなる長編叙事詩であり、天国篇はその最終章に過ぎません。

地獄篇では、主人公ダンテが、ローマ詩人ウェルギリウスの案内のもと、地獄の九つの円をめぐり、罪と罰の様相を目の当たりにします。煉獄篇では、ダンテは、浄罪の山を登りながら、七つの大罪を克服していきます。そして、天国篇では、ベアトリーチェの導きのもと、天上の九つの天を昇り、神の栄光を仰ぎ見る旅に出かけます。

天国篇単独で読むことも可能ですが、地獄篇、煉獄篇で描かれたダンテの旅路、そして登場人物たちとの関わりを知ることで、天国篇の理解はより深まります。

### 2. キリスト教神学の基礎知識があると理解が深まります。

「神曲」は、中世キリスト教の世界観に基づいて書かれています。天国篇では、三位一体や聖書のエピソードなど、キリスト教神学の知識が前提となっている箇所が多数登場します。

例えば、天国篇には、天使の階級制度、聖書の預言者たち、聖人たちの列聖など、キリスト教神学の概念が頻繁に登場します。これらの概念について事前にある程度の知識を持っておくことで、作品世界への没入感を高めることができます。

### 3. 寓意を読み解く準備をしておきましょう。

「神曲」は、単なる冒険物語ではなく、寓意に満ちた作品です。天国篇に登場する人物、場所、出来事の多くは、象徴的な意味を持っています。

例えば、ダンテが天国で出会うベアトリーチェは、神の恩寵を象徴しています。また、ダンテが天国で目にする様々な光は、神の叡智や愛を表しています。このような寓意を読み解くことで、「神曲」の真の深みに触れることができます。

### 4. 様々な解釈があることを知っておきましょう。

「神曲」、特に天国篇は、難解な作品としても知られており、これまで多くの学者や批評家たちが、様々な解釈を提示してきました。

例えば、ダンテの旅を、人間の魂の救済の過程として解釈する説、当時の政治状況を風刺したものであるとする説などがあります。 一つの解釈に固執するのではなく、様々な解釈に触れることで、作品に対する理解をより豊かにすることができます。

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