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シェイクスピアのヘンリー六世 第二部から学ぶ時代性

シェイクスピアのヘンリー六世 第二部から学ぶ時代性

ヘンリー六世と”理想の王”像の変遷

ヘンリー六世は敬虔で心優しい人物として描かれますが、同時に優柔不断で政治的な手腕に欠ける人物として描かれています。これは、中世からルネサンス期にかけて、”理想の王”像が変化していく様を反映しています。中世においては、王は神の代理人として、信仰心と慈悲深さが求められました。しかし、ルネサンス期に入ると、マキァヴェリの『君主論』に代表されるように、現実主義的な政治観が台頭し、強力なリーダーシップと政治的手腕を持つ君主が求められるようになりました。

劇中でヘンリー六世は、反乱や陰謀が渦巻く中で、自身の無力さに苦悩します。彼は、自分のような”聖人”ではなく、強い指導者が必要とされていることを自覚し、苦悩します。これは、当時の観客が、伝統的な価値観と現実的な政治の必要性との間で揺れ動く姿を反映していると言えるでしょう。

薔薇戦争と社会的不安

劇中で描かれる薔薇戦争は、当時のイングランド社会が抱えていた深刻な社会不安を象徴しています。ヨーク家とランカスター家の対立は、単なる権力闘争ではなく、貴族社会の腐敗や、農民の不満の増大など、社会全体に広がる不安定さを反映しています。

劇中には、ジャック・ケイドの乱のように、民衆の不満が爆発する場面も描かれています。ケイドは、社会の不平等を訴え、民衆の支持を集めますが、結局は鎮圧されてしまいます。これは、当時の社会における民衆の無力さを浮き彫りにすると同時に、社会不安の高まりが支配層にとって大きな脅威となっていたことを示唆しています。

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