## ブロンテの「嵐が丘」を面白く読む方法
登場人物の関係図を作る
「嵐が丘」は、登場人物たちの複雑な関係が織りなす愛憎劇です。しかし、初見では、誰が誰と血縁関係にあるのか、誰が誰を愛し、誰が誰を憎んでいるのか、混乱しやすいのも事実です。
そこで、読み始める前に、あるいは読みながら、登場人物の関係図を作ってみましょう。登場人物の名前と簡単な説明、そして誰とどのような関係なのかを図示していくと、物語の理解が深まります。系図のように家系図を作成するのも良いでしょう。視覚的に整理することで、複雑な人間関係がクリアになり、より物語に入り込みやすくなります。
ヨークシャーの荒涼とした風景を想像する
「嵐が丘」の魅力の一つは、舞台となるヨークシャーの荒涼とした自然風景描写です。荒野にそびえ立つ嵐が丘と、そこから見える広大な荒野、そしてそこに吹き荒れる風の音や、雨の匂いまで感じられるような筆致は、物語に独特の雰囲気を与えています。
小説を読みながら、ヨークシャーの風景をインターネットなどで検索して見たり、あるいは、実際にヨークシャー地方を訪れてみたりするのも良いでしょう。五感を総動員して風景を想像することで、登場人物たちの心情や、物語の持つ力強さをよりリアルに感じ取ることができるでしょう。
復讐劇だけではない、愛の物語として読む
「嵐が丘」は、しばしば復讐劇として語られますが、それだけではありません。 Heathcliff と Catherine の激しい愛、そしてその愛が周囲の人間を巻き込み、世代を超えて影響を与えていく様は、まさに愛の物語と言えるでしょう。
復讐心や嫉妬、憎しみといった感情の裏側にある、登場人物たちの愛や哀しみに目を向けてみましょう。登場人物たちの心の動きを丁寧に追っていくことで、単なる復讐劇ではない、深く複雑な人間ドラマが見えてくるはずです。
異なる視点から読み解く
「嵐が丘」は、複数の語り手によって物語が紡がれています。異なる視点から語られることで、物語に奥行きが生まれ、読者はそれぞれの視点から登場人物たちの心情や行動を解釈することができます。
例えば、家政婦である Nelly Dean の視点からは、客観的な事実と同時に、彼女自身の解釈や感情が読み取れます。一方、Heathcliff の視点からは、彼の心の奥底に秘められた愛憎劇が浮き彫りになります。それぞれの語り手の視点に注目し、彼らの立場や感情を想像しながら読むことで、「嵐が丘」は多層的な読み物へと変化していくでしょう。