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10代のためのサルトル「存在と無」

10代のためのサルトル「存在と無」

自己を見つめ直す旅への出発点:実存主義との出会い

10代は、自分とは何か、将来はどうなりたいのか、周りの人と自分はどのように違うのか、といった疑問に悩み、自分探しをする時期です。そんな10代の皆さんにとって、サルトルの「存在と無」は、一見難解に思えるかもしれませんが、実は自己を見つめ直すための素晴らしい出発点となり得ます。

サルトルは、「実存主義」という哲学を代表する思想家です。「実存は本質に先立つ」という言葉が、実存主義を端的に表しています。これは、人間には生まれつき決まった性質や役割(本質)はなく、まず「存在」することから始まり、その後に自分自身の選択と行動によって、自らの「本質」を創造していく、という意味です。

自由と責任:自分の人生を創造する力

「存在と無」でサルトルは、人間は常に自由であると主張しています。これは、どんな状況においても、私たちは選択の余地があり、その選択によって自分自身を形作っていくことができるということです。しかし、自由には同時に責任が伴います。自分の選択は、自分自身だけでなく、周りの人々や社会全体にも影響を与えるからです。

10代の皆さんは、将来の進路、友人関係、恋愛など、様々な選択を迫られる時期です。サルトルは、「私たちは、自分が選んだものになる」と言っています。自分の選択に責任を持ち、主体的に人生を切り開いていくことの重要性を、「存在と無」を通して学ぶことができます。

不安と孤独:実存の根源に向き合う

自由であるということは、同時に不安と孤独を伴います。なぜなら、自分の人生を創造する責任は、全て自分自身にあるからです。誰も正解を教えてくれるわけではなく、自分の選択が正しいかどうかは、最終的には自分自身で判断しなければなりません。

サルトルは、この不安と孤独こそが、人間存在の根源的なものであると述べています。10代の皆さんは、将来への不安や、周りの人との関係における孤独を感じることがあるかもしれません。「存在と無」を読むことで、こうした感情は決して自分だけのものではなく、人間存在の本質に関わる普遍的なものであることを理解し、それらと向き合うためのヒントを得ることができるでしょう。

他者との関係:自分自身を映し出す鏡

サルトルは、「地獄とは他者のことである」という有名な言葉を残しています。これは、他者の視線によって、自分の存在が規定されてしまうことを意味しています。私たちは、他者の評価を気にするあまり、本当の自分を見失ってしまうことがあります。

しかし、同時にサルトルは、他者との関係を通じて、自分自身をより深く理解することができるとも述べています。他者の視線は、自分自身を映し出す鏡のような役割を果たすからです。10代の皆さんは、友人関係や恋愛など、様々な人間関係の中で、自分自身について深く考える機会が多いでしょう。「存在と無」を通して、他者との関係の複雑さや、その中で自分自身を見つめ直すことの重要性を学ぶことができます。

「アンガージュマン」:社会とのかかわりを考える

サルトルは、「アンガージュマン」(engagement)という言葉を提唱しました。これは、社会的な問題に対して積極的に関わり、行動していくことを意味します。自由と責任を持つ人間として、私たちは、自分自身の人生だけでなく、社会全体についても考える必要があります。

10代の皆さんは、これから社会に出て、様々な問題に直面することになるでしょう。環境問題、貧困問題、差別問題など、世界には解決すべき課題が山積しています。「存在と無」は、こうした社会問題に対して、主体的に関わっていくことの重要性を考えるきっかけを与えてくれるでしょう。

「存在と無」を通して、自分自身と世界について考える

「存在と無」は、決して簡単な書物ではありません。しかし、10代の皆さんが、自分自身と世界について深く考えるための、貴重な糧となることは間違いありません。サルトルの思想に触れることで、自分自身の存在の意味、自由と責任、他者との関係、社会とのかかわりなど、様々な問いについて、深く考えるきっかけを得ることができるでしょう。そして、これらの問いに対する答えは、最終的には自分自身で見つけ出していく必要があります。

「存在と無」は、そのための長い旅の、最初の1歩となるかもしれません。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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