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10代のためのラシーヌ「アンドロマック」

10代のためのラシーヌ「アンドロマック」

愛と憎しみ、復讐の連鎖… 10代の心を揺さぶる普遍的なテーマ

ラシーヌの「アンドロマック」は、17世紀フランス古典主義を代表する悲劇です。トロイア戦争後のギリシャを舞台に、ヘクトル(トロイアの王子)の妻アンドロマック、ギリシャの英雄ピュロス、ピュロスに思いを寄せるギリシャの王女エルミオーヌ、そしてエルミオーヌを愛するオレステス(ギリシャの王子)の4人の男女が織りなす愛憎劇を描いています。一見、遠い過去の物語のように思えるかもしれません。しかし、この作品が描く人間の感情、葛藤、そして苦悩は、時代を超えて現代の私たち、特に10代の皆さんにも深く共感できる普遍的なものです。

複雑に絡み合う登場人物たちの心理… 自分自身を見つ直すきっかけに

アンドロマックは、夫と祖国を失い、息子アステュアナクスの命を守るためにギリシャの英雄ピュロスの捕虜となっています。彼女は亡き夫への愛と息子への母性愛の間で苦しみ、ピュロスの求愛を拒絶します。ピュロスはアンドロマックへの激しい愛に突き動かされ、彼女を得るためには手段を選びません。エルミオーヌはピュロスへの愛が叶わず、嫉妬と憎しみに燃え、復讐を企てます。オレステスはエルミオーヌへの叶わぬ愛に苦しみ、彼女の望みを叶えようと奔走しますが、その行動は悲劇的な結末へと繋がっていきます。

登場人物たちの複雑な心理描写は、10代の皆さんが自分自身や周りの人々の感情、人間関係について深く考えるきっかけを与えてくれるでしょう。愛、憎しみ、嫉妬、復讐… これらの感情は誰もが経験する可能性のあるものであり、「アンドロマック」を通してこれらの感情と向き合うことで、自分自身の心の動きをより深く理解し、他者への共感力を育むことができるかもしれません。

言葉の力… フランス古典劇の美しさに触れる

「アンドロマック」は、アレクサンドランと呼ばれる12音節の韻文で書かれており、フランス古典劇特有の格調高い美しさを備えています。登場人物たちの感情の揺れ動きや葛藤が、洗練された言葉によって鮮やかに表現されており、単なる物語を読む以上の深い感動を味わうことができます。

10代の皆さんは、感受性が豊かで、新しいものへの吸収力も高い時期です。ラシーヌの美しい詩的な言葉に触れることで、言葉の力、表現の豊かさを実感し、自身の語彙力や表現力を高めることにも繋がるでしょう。

古典作品に触れる… 豊かな教養を育む

「アンドロマック」は、フランス文学だけでなく、西洋文学全体においても重要な位置を占める古典作品です。この作品を読むことで、西洋文化の基盤となるギリシャ・ローマ神話や歴史への理解を深めることができます。

古典作品に触れることは、単に知識を得るだけでなく、教養を深め、物事を多角的に捉える力を養うことにも繋がります。10代の皆さんが将来、様々な分野で活躍していく上で、古典作品から得られる教養は大きな力となるでしょう。

異なる文化への理解… 世界を広げる

「アンドロマック」は、17世紀フランスの社会や文化を反映した作品でもあります。当時のフランスは絶対王政の時代であり、貴族社会の規範や価値観が人々の行動を大きく制約していました。登場人物たちの行動や葛藤は、そうした社会背景を理解することで、より深く読み解くことができます。

異なる文化の作品に触れることは、自身の視野を広げ、世界に対する理解を深める貴重な経験となります。10代の皆さんがグローバルな社会で活躍していくためには、多様な文化への理解が不可欠であり、「アンドロマック」はその第一歩となるかもしれません。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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