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リヴィウスのローマ建国史の位置づけ

リヴィウスのローマ建国史の位置づけ

リウィウスと「ローマ建国史」

ティトゥス・リウィウス(紀元前59年頃 – 紀元後17年頃)は、ローマ帝政初期に活躍した歴史家です。彼の代表作である「ローマ建国史」(Ab Urbe Condita Libri)は、ローマ建国から紀元前9年までのローマの歴史を142巻にも及ぶ大作として著述されました。

現存状況と史料的価値

「ローマ建国史」は、現在では全142巻のうち35巻のみが完全に現存し、その他一部が断片的に残るのみとなっています。失われた巻については、後世の歴史家による要約(ペリオカエ)などによって内容をある程度知ることができます。

現存する部分だけでも膨大な情報量を誇る「ローマ建国史」は、ローマ史研究において欠かせない一次史料の一つとして位置付けられています。リウィウスは、先行する歴史家や公文書、碑文などを参考にしながら、ローマ史上の出来事を年代順に詳述しました。特に共和政時代初期に関する記述は、同時代の資料が乏しいため、その価値は非常に高いと言えます。

歴史叙述の特徴

リウィウスの歴史叙述は、ローマ人の伝統的な価値観や道徳観を色濃く反映している点が特徴として挙げられます。彼は、ローマ建国から自らの時代に至るまで、ローマ人が祖先伝来の美徳を守り抜くことで繁栄を築き上げてきたという史観に基づき、歴史を描こうとしました。

そのため、歴史的事実を客観的に記述することに徹するのではなく、登場人物の言動や心理描写を通して、読者に道徳的な教訓を伝えようとする傾向が見られます。

文学作品としての側面

「ローマ建国史」は、歴史書であると同時に優れた文学作品としても評価されています。リウィウスは、修辞学に精通しており、劇的な表現や雄弁な語り口を用いることで、読者をローマの歴史世界へと引き込みます。

登場人物の生き生きとした描写や、戦場における臨場感溢れる描写は、文学作品としての「ローマ建国史」の魅力をさらに高めています。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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