## フィリップスの政治の論理の位置づけ
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フィリップスの政治の論理とは
「フィリップスの政治の論理」とは、エドワード・D・フィリップス Jr. が1995年に発表した著書 *The Royal Navy and the Seven Years’ War* の中で提示した概念です。この中でフィリップスは、18世紀のイギリス海軍が、伝統的な「軍事の論理」ではなく、「政治の論理」に基づいて艦隊を運用していたと主張しました。
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「軍事の論理」と「政治の論理」
フィリップスによれば、「軍事の論理」とは、敵艦隊の撃滅を唯一の目的とし、そのためには多少の犠牲やリスクも厭わないという考え方です。一方、「政治の論理」は、軍事的な勝利よりも、戦争目的の達成を重視します。
18世紀のイギリスにとって、戦争目的は植民地や貿易の利権の確保であり、そのためには必ずしも敵艦隊の撃滅は必要ありませんでした。むしろ、敵艦隊との決戦を避けて海上交通路を保持し、兵站線を確保することの方が重要でした。
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「政治の論理」に基づくイギリス海軍の戦略
フィリップスは、18世紀のイギリス海軍が「政治の論理」に基づいて以下の様な戦略を採用したと主張しました。
* **海上封鎖**: 敵国の港を封鎖し、海上交通路を遮断することで、経済的に弱体化させる戦略。
* **通商破壊**: 敵国の商船を拿捕することで、経済的な損害を与える戦略。
* **植民地攻撃**: 敵国の植民地を攻撃し、奪取することで、資源や拠点を奪う戦略。
これらの戦略は、いずれも敵艦隊との決戦を回避しつつ、戦争目的を達成することを目指したものでした。
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「政治の論理」の意義と影響
「政治の論理」は、それまでの海軍史研究では見過ごされてきた視点であり、18世紀のイギリス海軍の戦略を理解する上で重要な概念として注目されました。
フィリップスの研究は、軍事史研究に大きな影響を与え、その後の海軍史研究においても、「政治の論理」は重要な分析枠組みの一つとなっています。
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