Skip to content Skip to footer

ハロッドの動態経済学序説の位置づけ

## ハロッドの動態経済学序説の位置づけ

###

出版と時代背景

ハロッドの主著『動態経済学序説』(Towards a Dynamic Economics)は1948年に出版されました。これは、第二次世界大戦後の世界経済が復興へと向かう中で、資本主義経済の長期的な発展と安定について強い関心が寄せられていた時代でした。ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936年)が発表されてから10年以上が経過し、短期的な経済変動だけでなく、長期的な成長メカニズムへの関心が高まっていました。

###

ケインズ経済学との関係

ハロッド自身はケインズの影響を強く受けた経済学者であり、『動態経済学序説』もケインズの理論を発展させる試みとして位置づけられています。特に、有効需要の原理を長期的な経済成長分析に適用し、投資と貯蓄のバランスが経済成長率を決定するという「保証成長経路」の概念を提示しました。

###

均衡成長経路と不安定性

ハロッドのモデルは、経済が均衡状態を保ちながら成長していく「保証成長経路」を明らかにすると同時に、現実の経済はこの経路から逸脱しやすいという不安定性を示唆しました。この不安定性は、投資決定の不確実性や乗数効果、加速効果などによって生み出されるとされ、経済変動の要因を分析する上で重要な視点を提供しました。

###

後世の経済学への影響

『動態経済学序説』は、その後の経済成長理論や景気循環論に大きな影響を与えました。特に、ソローの成長モデルや新古典派成長理論など、現代のマクロ経済学の基礎となる理論の発展に寄与しました。また、経済成長と完全雇用を両立させるための経済政策の必要性を示唆し、戦後の経済政策にも一定の影響を与えました。

Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

Leave a comment

0.0/5