グッドマンの世界制作の方法の位置づけ
グッドマンの記号論における世界制作
ネルソン・グッドマンは、アメリカの哲学者であり、その業績は、芸術、科学、言語、認識論など、多岐にわたります。特に、その記号論は、芸術作品を理解する上で重要な視点を提供するものとして、高く評価されています。グッドマンは、著書『芸術の言語』(Languages of Art, 1968) において、芸術作品をシンボルとして捉え、そのシンボル機能によって世界がどのように構成されるのかを考察しました。
世界制作としての芸術
グッドマンは、従来の美学における「模倣論」を批判し、芸術作品は世界を単に模倣するのではなく、独自のシンボルシステムによって世界を「制作する」ものであると主張しました。彼によれば、絵画、彫刻、音楽、ダンス、文学といった芸術作品は、それぞれ独自のシンボルを用いて、私たちの知覚や認識を導き、新たな世界を創り出します。
シンボルシステムとしての「記号方式」
グッドマンは、シンボルシステムを「記号方式」(symbol scheme) と呼び、その構成要素として、「記号」(symbol)、「指示対象」(referent)、「指示様式」(mode of reference) を挙げました。記号とは、絵画における色彩や筆触、音楽における音符やリズムといった、具体的な要素を指します。指示対象とは、記号が指し示すもの、つまり作品を通して表現される内容や概念を指します。そして、指示様式とは、記号と指示対象を結びつける規則や関係性を指します。
多様な世界制作
グッドマンは、記号方式の多様性によって、芸術作品はそれぞれ異なる世界を制作すると考えました。絵画、彫刻、音楽、文学といった異なる芸術ジャンルは、それぞれ独自の記号方式を用いているため、それぞれ異なる世界を表現することが可能となります。また、同じジャンルに属する作品であっても、作家によって用いられる記号方式が異なれば、表現される世界も異なります。
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