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タキトゥスのゲルマニアのメッセージ

## タキトゥスのゲルマニアのメッセージ

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ゲルマニアの地勢と民族について

タキトゥスは「ゲルマニア」の冒頭で、ゲルマニアの地勢について記述しています。ライン川とドナウ川を境界線とし、広大で人跡未踏の森林や湿地帯が広がっていると述べています。また、気候は厳しく、土壌は肥沃ではないものの、穀物栽培には適していると記しています。

ゲルマン民族については、単一の民族ではなく、多数の部族から構成されていると説明しています。共通の祖先として、神話の英雄であるマンヌスを挙げ、その子孫である3兄弟からそれぞれ、インガエウォネス族、ヘルミオネス族、イスタエウォネス族が派生したという伝承を紹介しています。

しかし、タキトゥス自身はこの伝承の真偽を断定することはできないとし、ゲルマン民族の起源については明確な結論を述べていません。

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ゲルマン人の社会と文化

ゲルマン人の社会は、氏族や血縁を重視した共同体として描かれています。自由人と奴隷の区別は存在するものの、ローマ社会のような厳格な身分制度は見られません。また、王や族長は存在するものの、その権力は絶対的なものではなく、民会での決定が重要視されていました。

ゲルマン人は戦争を好む一方、家族や客人への忠誠心も篤く、客人に対しては手厚くもてなす習慣があったと記しています。また、賭博好きで、時には自分の自由をかけてしまうほど熱中する様子も描写されています。

宗教観については、ゲルマン人は多神教であり、特に太陽、月、火を崇拝していたと記されています。また、森や泉などの自然物にも神聖なものとして崇拝の対象としていました。

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ローマに対する示唆

「ゲルマニア」は、単なるゲルマン民族の記録にとどまらず、当時のローマ社会に対する批判的な視点を内包しているという解釈も存在します。

例えば、ゲルマン人の質素で堅実な生活を対比させることで、贅沢に溺れるローマ社会の堕落を暗に批判しているという見方もあります。また、ゲルマン人の王権の制限や自由人としての気概を描写することで、帝政へと移行し、共和制の理念が失われつつあったローマに対する警鐘を鳴らしているという解釈も存在します。

ただし、「ゲルマニア」の記述には、ローマ人から見たステレオタイプや偏見も含まれている可能性があり、その解釈には注意が必要です。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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