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シュミットの憲法理論の仕組み

## シュミットの憲法理論の仕組み

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1. 憲法と憲法制定権

シュミットは、憲法と憲法制定権を明確に区別します。彼によれば、憲法制定権とは、具体的な歴史的な状況において、国家の基本秩序を創設し、その存在を決定する原初的な政治的権力です。一方、憲法は、制定権によって制定された、国家の基本的な法秩序を定めたものです。

シュミットは、憲法制定権を行使する主体として「国民」を想定しています。しかし、シュミットの言う「国民」は、単なる個人の集合体ではなく、政治的な意思によって統合された「政治的な Einheit(統一体)」を意味します。

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2. 立憲主義批判

シュミットは、ワイマール憲法のような自由主義的な立憲主義を批判しました。彼は、自由主義的な立憲主義が、議会や政党といった多元的な政治勢力による政治の細分化をもたらし、国家の統一性を弱体化させると考えたのです。

特に、議会における多数決原理を重視する議院内閣制は、政治的な敵対関係を先鋭化させ、国家の危機において効果的な意思決定を阻害するとシュミットは批判しました。

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3. 正規の状態と例外状態

シュミットの憲法理論の中心的な概念に、「正規の状態」と「例外状態」の区別があります。正規の状態とは、憲法が定めた法秩序が正常に機能している状態です。一方、例外状態とは、自然災害や内乱、戦争などによって、憲法秩序が危機に瀕し、その存続が脅かされる状態を指します。

シュミットは、例外状態においては、通常の法秩序では対応できないため、国家の存続を守るためには、憲法の枠を超えた非常措置が必要になると主張しました。

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4. 主権

シュミットにとって、主権とは、「例外状態を決定する者」です。つまり、国家が例外状態に置かれているかどうか、またどのような非常措置をとるべきかを最終的に決定する権力が主権です。

シュミットは、具体的な状況に応じて、主権は議会や大統領など、様々な主体に帰属する可能性があるとしました。重要なのは、主権が明確に存在し、国家の危機において迅速かつ効果的な意思決定を行うことができるということです。

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