## シュペングラーの西洋の没落のメカニズム
文化の有機体説
シュペングラーは、歴史を単線的な進歩と捉える従来の見方を否定し、各文化はそれぞれ独立した有機体のように、誕生、成長、衰退、死というライフサイクルを持つと主張しました。彼の思想の中核にあるのは、文化を生命体にたとえる有機体説です。
文化の誕生と展開
シュペングラーによれば、文化は、特定の土地と民族を基盤に、無意識的な創造力である「文化魂」によって形成されます。文化魂は、芸術、宗教、哲学、政治、経済など、あらゆる文化活動の根底に流れる精神的なエネルギーです。文化は、誕生期には、生命力に満ち溢れ、純粋な創造活動が展開されます。この段階では、人々は共通の価値観や世界観を共有し、強い共同体意識を持っています。
文明化と衰退
文化が成熟期を迎えると、創造的なエネルギーは次第に失われ、文化は「文明」へと移行します。文明は、文化の最終段階であり、合理主義、都市化、技術進歩、物質主義などが特徴です。文明化は、文化の成果を享受する一方で、精神的な活力を失わせ、文化を硬直化させます。
没落の必然性
シュペングラーは、文明化は不可避的に衰退と死をもたらすと考えました。都市への人口集中、経済格差の拡大、伝統的な価値観の崩壊、個人主義の蔓延など、文明化に伴う様々な問題は、文化の活力を奪い、社会を不安定化させます。最終的に、文明は内側から崩壊し、新たな文化が誕生する土壌となるのです。
西洋文化の運命
シュペングラーは、自身が生きていた20世紀初頭の西洋文明もまた、没落の過程にあると分析しました。彼は、西洋文化が、古代ローマと同様に、物質主義、個人主義、理性主義によって衰退していくと予測しました。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。