## ホイジンガの中世の秋の面白さ
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豊かな史料に基づいた鮮やかな描写
ホイジンガは、『中世の秋』において、膨大な量の一次史料を用いることで、14世紀から15世紀のフランス・ブルゴーニュ宮廷文化を生き生きと描写しています。文学作品、絵画、音楽、祭礼、騎士道、恋愛、死生観など、多岐にわたるテーマを扱いながら、当時の社会に生きた人々の精神構造を浮かび上がらせている点が魅力です。
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従来の歴史観への挑戦
ホイジンガは、中世を「暗黒時代」と捉える従来の見解に異議を唱え、独自の視点で中世文化を捉え直しています。当時の文化が、騎士道や恋愛、宗教といった要素の中で、独自の美意識や精神性に基づいて花開いたことを明らかにしました。衰退期とされてきた時代にも、独自の文化が力強く存在していたことを示した点は、大きな功績と言えるでしょう。
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文化史研究における新しい視点
ホイジンガは、政治や経済といった従来の歴史研究の中心的なテーマではなく、文化に焦点を当てています。そして、文学や美術、音楽、祭礼といった文化現象を分析することで、当時の社会や人々の精神構造を明らかにしようと試みました。これは、その後の文化史研究に大きな影響を与え、歴史学における新たな地平を切り開いたと言えるでしょう。
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美しい文章表現
『中世の秋』は、学術書でありながら、その文体は美しく、詩的な表現も随所に見られます。ホイジンガ自身の深い洞察と、対象に対する愛情が、読者に直接語りかけるような筆致を生み出しており、読者を中世の世界へと誘う魅力となっています。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。