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ラシーヌのブリタニクスから得られるもの

## ラシーヌのブリタニクスから得られるもの

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権力と欲望の構図

「ブリタニクス」は、ローマ皇帝ネロがその座に就いて間もない頃を描いた作品です。ネロは、義理の弟であり皇位継承権を持つブリタニクス、そしてブリタニクスに想いを寄せるユンヌとの間で、権力と欲望の渦に巻き込まれていきます。

劇中でネロは、絶対的な権力を手中に収めながらも、心の奥底に潜む不安や猜疑心に苛まれます。ユンヌへの恋慕と、ブリタニクスへの嫉妬は、彼の心をさらに揺り動かします。 こうしたネロの姿は、権力の座に就くことの危うさ、そして人間が持つ底知れぬ欲望を浮き彫りにします。

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愛と憎しみの交錯

「ブリタニクス」では、登場人物たちの愛憎が複雑に絡み合い、悲劇へと突き進んでいきます。ネロとブリタニクスの確執、ユンヌをめぐる三角関係、それぞれの思惑が交差する中で、愛と憎しみが表裏一体となって展開されます。

ユンヌは、ネロの愛とブリタニクスへの愛の間で苦悩します。彼女は、自分の意志とは裏腹に、権力闘争に巻き込まれていくのです。こうした愛憎劇を通して、人間の感情の脆さ、そして愛ゆえの苦悩が鮮やかに描かれます。

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古典主義の美学

ラシーヌは、フランス古典主義を代表する劇作家として知られています。「ブリタニクス」においても、三単一原則(時間、場所、筋の一致)を遵守し、人間の理性と感情、そして運命の皮肉を描き出しています。

簡潔で洗練された言葉、登場人物たちの心理描写、そして劇的な展開は、古典主義の美学を体現しています。作品の構成要素一つひとつが、人間の普遍的なテーマである愛と憎しみ、権力と欲望を描き出すために緻密に計算されています。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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