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ベンサムの道徳と立法の諸原理序説に匹敵する本

## ベンサムの道徳と立法の諸原理序説に匹敵する本

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ジョン・ロック著「統治二論」

ジョン・ロックの「統治二論」は、政治哲学の古典であり、近代民主主義の思想的基盤を築いた金字塔とされています。1689年の名誉革命を正当化するために書かれ、自然権論、社会契約論、抵抗権といった概念を展開し、後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言にも大きな影響を与えました。

本著は二部構成となっており、第一部では絶対君主制を批判し、第二部ではロックの考える統治のあり方を提示しています。

第一部では、ロバート・フィルマーの「パトリアーチャ」を批判対象とし、父権に基づく政治権力の正当性を否定します。ロックは、人間はすべて生まれながらにして自由かつ平等であり、生命、自由、財産といった自然権を有すると主張しました。

第二部では、自然状態から社会契約によって国家が形成される過程を論じます。人々は、自然状態における不安定さを解消し、自然権をより確実なものとするために、社会契約によって政治社会を形成し、政府に統治を委ねます。

ロックは、政府の権力は人民の同意に基づくべきであり、政府が人民の権利を侵害した場合には、人民は抵抗する権利を有するとしました。これは、後の市民革命における重要な思想的根拠となりました。

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ジャン=ジャック・ルソー著「社会契約論」

ジャン=ジャック・ルソーの「社会契約論」は、1762年に出版された政治哲学書であり、フランス革命を含む後の社会運動に多大な影響を与えました。ルソーは、人間は本来自由であるにもかかわらず、社会においては様々な束縛を受けているという「人間は生まれながらにして自由である。しかし、いたるところで彼は鉄鎖につながれている」という有名な一節で本書を始めています。

ルソーは、社会における不平等や腐敗の原因を、私有財産制度に求めました。そして、真の自由と平等を実現するためには、個人の意志を結集した「一般意志」に基づく政治体制が必要であると主張しました。

ルソーが提唱する社会契約は、個人がそれぞれの権利をすべて共同体に譲渡し、その共同体(国家)の構成員となることで、個人の自由と平等を保障するというものです。

「一般意志」とは、共同体の構成員全体の共通の利益を追求する意志であり、ルソーは、直接民主制によってのみ、この「一般意志」を実現できると考えました。

「社会契約論」は、その後の政治思想、特に民主主義思想に大きな影響を与えました。ルソーの思想は、フランス革命をはじめとする様々な社会変革運動の原動力となり、現代社会においてもなお、重要な意味を持ち続けています。

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イマヌエル・カント著「道徳形而上学の基礎づけ」

イマヌエル・カントの「道徳形而上学の基礎づけ」は、1785年に出版された倫理学の古典であり、義務論を体系化した記念碑的な著作として知られています。カントは、人間の道徳的行為の根拠を、経験や感情、結果ではなく、理性に求めました。

カントは、「善意志」のみが道徳的に価値あるものと考えています。「善意志」とは、義務感に基づき、道徳法則に従って行為しようとする意志です。

道徳法則は、「あなたが同時にその行為の格率が普遍的法則となることを欲することのできるような格率に従ってのみ行為しなさい」という「定言命法」として表現されます。

カントは、人間の理性から導き出される道徳法則に従うことこそが、人間の尊厳を保ち、真の自由を実現することであると主張しました。

「道徳形而上学の基礎づけ」は、その後の倫理学に多大な影響を与え、義務論の中心的テキストとして、現代においても重要な地位を占めています。

これらの書物は、いずれも人間の道徳、政治、社会に関する根本的な問いを提起し、後世に多大な影響を与えたという点で、「ベンサムの道徳と立法の諸原理序説」に匹敵する歴史的名著と言えるでしょう。

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