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シェイエスの第三身分とは何かに匹敵する本

## シェイエスの第三身分とは何かに匹敵する本

トマス・ペイン『コモン・センス』

1776年1月に匿名で出版された『コモン・センス』は、アメリカ独立戦争のさなかに発行され、植民地時代のアメリカ社会に爆発的な影響を与えました。ペインはイギリス生まれでしたが、アメリカに移住し、その体験を通してイギリスの支配から独立すべきという信念を強めました。

本書でペインは、複雑な政治理論を用いることなく、平易な言葉で一般市民に向けて独立の必要性を訴えました。彼は君主制と世襲を痛烈に批判し、共和制の利点を強調しました。また、イギリスによる経済的な搾取や不当な扱いにも触れ、アメリカが独立することで得られる自由と繁栄を鮮やかに描きました。

『コモン・センス』は、発行後わずか数ヶ月の間に数十万部が売れ、当時のアメリカの人口から考えると驚異的な普及率を記録しました。人々は街角や酒場でこの本について議論し、独立への機運は一気に高まりました。

シェイエスの『第三身分とは何か』がフランス革命の思想的な支柱となったように、『コモン・センス』はアメリカ独立への道を切り開く上で重要な役割を果たしました。どちらも、時代の転換期に現れ、人々の意識を変革し、歴史の大きなうねりを生み出したという点で共通しています。

カール・フォン・クラウゼヴィッツ『戦争論』

プロイセンの軍人であり軍事学者であったクラウゼヴィッツが著した『戦争論』は、ナポレオン戦争の経験を踏まえ、戦争の本質を考察した書です。1832年に出版された本書は、軍事戦略のみならず、政治、外交、社会との関係においても戦争を分析しており、後世の軍事思想に多大な影響を与えました。

クラウゼヴィッツは、戦争を「政治の延長」と捉え、政治目的を達成するための手段として位置づけました。彼は、戦争は合理的な計算に基づいて遂行されるべきだと主張し、感情や道徳に基づく判断を戒めました。

『戦争論』で展開された「摩擦」「霧の戦争」「決戦」といった概念は、現代の軍事戦略においても重要な概念となっています。戦争の不確実性や偶発性を強調したクラウゼヴィッツの洞察は、時代を超えて軍事指導者たちの思考に影響を与え続けています。

『戦争論』は、シェイエスの著作のように直接的に革命を促したわけではありません。しかし、戦争という複雑な現象を体系的に分析することで、国家間の関係や国際政治のあり方を根本から問い直しました。その意味で、『戦争論』は、シェイエスの『第三身分とは何か』と同様に、既存の秩序や考え方に大きな変革をもたらしたと言えるでしょう。

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