Skip to content Skip to footer

クロポトキンのフランス革命史に匹敵する本

## クロポトキンのフランス革命史に匹敵する本

###

E・P・トンプソンの『英国民衆の形成』

1963年に出版されたE・P・トンプソンの『英国民衆の形成』は、18世紀後半から19世紀初頭にかけてのイギリスにおける労働者階級の意識形成を描き出した歴史学の金字塔です。トンプソンは、従来の歴史観では見過ごされてきた民衆自身の経験や文化に着目し、膨大な一次資料を駆使して、彼らが独自のアイデンティティと共同体を築き上げていく過程を鮮やかに描き出しました。

本書は、マルクス主義歴史学の枠組みを大きく押し広げ、文化史や社会史といった新たな歴史学の潮流を生み出すきっかけとなりました。また、その力強い筆致と民衆への共感は、歴史学の枠を超えて、多くの読者に感銘を与え続けています。

###

ミシェル・フーコーの『狂気の歴史』

1961年に出版されたミシェル・フーコーの『狂気の歴史』は、西洋社会における「狂気」の概念の歴史を、古代ギリシャから現代に至るまで通観した画期的な著作です。フーコーは、従来の精神医学史が前提としてきた「狂気」という概念自体を問い直し、それぞれの時代における権力構造や社会規範との関連の中で、「狂気」の定義や扱われ方が変化してきたことを明らかにしました。

本書は、歴史学、哲学、精神医学など、多岐にわたる分野に大きな影響を与え、「狂気」という概念だけでなく、近代社会における権力や知識のあり方を根本から問い直す契機となりました。

###

カルロ・ジンスブルグの『チーズと虫』

1976年に出版されたカルロ・ジンスブルグの『チーズと虫』は、16世紀イタリアの粉屋メノッキオの異端審問記録を丹念に読み解くことで、当時の民衆文化の深層を描き出したマイクロヒストリーの傑作です。ジンスブルグは、一見取るに足らないような細かな記述や矛盾の中に、メノッキオの独特な世界観や宇宙観を読み取り、民衆の思考が支配的な宗教や文化とどのようにせめぎ合っていたのかを明らかにしました。

本書は、従来の歴史学では光が当たりにくかった民衆の意識や文化に光を当て、歴史研究における新たな方法論を提示した点で画期的です。また、ミステリー小説を読んでいるかのようなスリリングな展開は、歴史学の枠を超えて多くの読者を魅了しています.

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5