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ユスティニアヌスのローマ法大全の対極

## ユスティニアヌスのローマ法大全の対極

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ハムラビ法典

紀元前1750年頃に制定されたハムラビ法典は、現存する最古の成文法典の一つであり、古代バビロニアの王ハムラビによって編纂されました。楔形文字で石碑に刻まれたこの法典は、家族、財産、商業、犯罪など、当時の社会生活における様々な側面を網羅する282条の条文から成り立っています。

ユスティニアヌスのローマ法大全が、1000年近くにわたるローマ法の積み重ねを体系的に編纂したものであるのに対し、ハムラビ法典は、それ以前の慣習法を成文化した上で、王権によって制定・公布されたという点で対照的です。また、ローマ法大全が、後の時代の法体系に多大な影響を与えたのに対し、ハムラビ法典の影響は、バビロニア帝国の滅亡と共に衰退し、後世に直接的な影響を与えることはありませんでした。

ハムラビ法典の特徴として、次のような点が挙げられます。

* **復讐法:** “目には目を、歯には歯を” という言葉に象徴されるように、加害者に対する報復を原則としています。
* **身分差による処罰の差異:** 自由人、平民、奴隷といった身分によって、同じ罪を犯した場合でも、異なる処罰が定められています。
* **裁判における証拠の重視:** 証言や証拠品など、客観的な証拠に基づいた判決が重視されました。

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唐律疏議

7世紀に中国・唐王朝において編纂された唐律疏議は、律令格式と呼ばれる中国古代の法典群の中でも最高傑作とされ、その後の東アジア諸国の法体系に大きな影響を与えました。唐律疏議は、刑法典である「律」と、行政法典・民法典にあたる「令」、注釈書である「疏」、解釈書である「議」から構成されています。

ユスティニアヌスのローマ法大全が、法解釈を巡る学説対立を克服するために編纂されたのと同様に、唐律疏議もまた、律令の解釈を統一し、法の運用を安定化させることを目的としていました。しかし、ローマ法が、訴訟における法廷闘争を通じて発展したのに対し、唐律は、官僚機構による統治を前提としており、その運用も官僚によって行われました。

唐律疏議の特徴として、次のような点が挙げられます。

* **儒教思想の影響:** 孝悌や忠義といった儒教の道徳観念が、法の根底に強く反映されています。
* **刑罰の軽重:** 死刑などの重い刑罰は慎重に適用され、軽い刑罰を組み合わせることによって、社会秩序の維持を図りました。
* **律令の解釈と運用:** 律令の条文は簡潔に記されており、具体的な解釈や運用は、注釈書や解釈書、そして判例によって補完されました。

このように、ハムラビ法典と唐律疏議は、いずれもユスティニアヌスのローマ法大全とは異なる歴史的背景、法体系、思想を有しており、それぞれ独自の特色を持つ法典として、人類の歴史に名を刻んでいます。

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