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ディルタイの精神科学序説の対極

## ディルタイの精神科学序説の対極

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自然科学的方法の精神科学への適用

ディルタイの『精神科学序説』は、自然科学的方法とは異なる独自の解釈学的アプローチによって人間文化を理解しようとしました。 彼の主張の対極に位置する歴史的名著として、たとえば、**ジョン・スチュアート・ミルの『論理学体系』**が挙げられます。

ミルは同書の中で、自然科学と同様の帰納的方法を用いることで、人間の行動や社会現象についても法則を見出すことができると主張しました。これは、人間の精神を独自の領域として扱い、解釈学的な方法で理解しようとしたディルタイとは大きく異なる点です。

ミルは、人間の行動も自然現象と同じく因果関係に支配されていると考えました。彼は、経験から一般的法則を導き出す帰納法を用いることで、人間の行動の背後にある原因や法則を明らかにできると主張しました。

さらに、ミルは倫理学や政治学といった分野においても、自然科学と同様の方法論を用いることができると考えました。彼は、人間の幸福を最大化するための道徳や政治の原則も、経験的な観察と論理的な推論によって導き出すことができると主張しました。

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ディルタイとの対比

ミルの主張は、自然科学的方法の有効性を人間の精神世界にまで拡張しようとするものでした。これは、人間の精神を独自の領域として扱い、自然科学的方法では理解できないと考えたディルタイとは根本的に異なる立場です。

ディルタイは、人間の行動を理解するためには、その行動が生み出された歴史的・文化的文脈を考慮する必要があると主張しました。彼は、解釈学的な方法を用いることで、過去の文化や作品に込められた意味を理解できると考えました。

ミルの『論理学体系』とディルタイの『精神科学序説』は、人間の精神や文化を理解する方法について全く異なる視点を提示しており、それぞれが後の思想界に大きな影響を与えました。

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