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ギゾーのヨーロッパ文明史の対極

ギゾーのヨーロッパ文明史の対極

オスヴァルト・シュペングラー著「西洋の没落」

フランソワ・ピエール・ギゾーの「ヨーロッパ文明史」は、19世紀ヨーロッパの進歩史観を代表する歴史書です。 合理性と自由の進展を軸に、古代ギリシャから近代ヨーロッパに至る歴史を壮大な物語として描き出し、ヨーロッパ文明の普遍性と優越性を力説しました。

対照的に、オスヴァルト・シュペングラーの「西洋の没落」は、第一次世界大戦後の閉塞感漂う時代に発表され、20世紀初頭の厭世的な雰囲気を色濃く反映した歴史観を提示しています。 シュペングラーは、歴史を直線的な進歩と捉えるギゾーの歴史観を真っ向から否定し、独自の「文化形態史観」を展開しました。

シュペングラーは、歴史は単線的な進歩ではなく、それぞれ独自の文化形態を持つ複数の文明が、誕生、成長、衰退、死滅という生物と同様のライフサイクルをたどると考えました。 彼は、エジプト、バビロニア、インド、中国、ギリシャ・ローマ、アラブ、西洋など、世界の歴史に登場した8つの主要な文化を分析し、それぞれが約1000年の寿命を持ち、共通の興隆と衰退のパターンを辿ると主張しました。

シュペングラーは、当時の西洋文明を晩期ローマ帝国と重ね合わせ、その没落は避けられないと予言しました。 彼は、西洋文明が物質主義、技術主義、大衆社会へと向かう中で、精神的な活力と創造性を失いつつあると批判しました。

「西洋の没落」は、その衝撃的な内容から、発表当時大きな反響を呼びました。 第一次世界大戦後の不安と虚無感を背景に、多くの人々がシュペングラーの悲観的な未来予測に共感しました。 一方、彼の歴史観は、文化や文明を単純化しすぎている、歴史を決定論的に捉えすぎているなどの批判も受けました。

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